二月は奈良に出向くのにちょうどいい季節だと思う。
この季節に奈良に行くならば、できれば晴れよりも雨の日を選びたい。
近鉄奈良駅周辺の冷たい石の道や、木組みの町並みが雨に濡れて黒く光る様は、
古都の風情とはなるほどこういうものか、と思わせるに十分なほど意味ありげな佇まいを見せる。
さて、奈良といえば春日大社や東大寺なんかが有名だが、シカと外国人観光客のひしめく東大寺大仏殿の右奥のあたりには、また別のお堂があるのをご存知だろうか。
その名も「二月堂」「法華堂(三月堂)」。
むしろ大仏殿よりこっちのほうが見どころがあるんだけど、なぜか人があまりいない。
大仏殿に向かって右側の坂道を進むと、立派な根の杉を通り過ぎたあたりで看板があらわれる。
雨で濡れそぼった鹿は、公園でシカ煎餅を貪る同胞たちにくらべて、生命感を感じる。
多分、同じメンツなんだろうけど。
小鹿は細くて小さくて、黒目の多い純粋そうな目をした鹿たちの中にあって、特にピュアな雰囲気を漂わせていました。
案内に沿って歩いていくと、正面に参道の石段が見えてきます。
参道の石灯籠も苔むして美しい。並ぶ間隔や背景もフォトジェニックなので、
みんなこっちで写真を撮ったらいいのに。
舞台からの眺望。大仏殿を眼下にみる。